伝記,  本の感想

「ヘレン・ケラー」③

2019年1月23~24日

「ヘレン・ケラー」

フィオ・マクドナルド著

菊島伊久栄著

伝記 世界を変えた人々14

 

 

感想が少し長くなってしまったため、

全3部構成としてさせていただく。

 

今回はその第3回目、最終回だ。

アンの献身的な指導はヘレンの奇跡的な成長につながり、

二人が一人の人間としてどう生きたのか、

彼女たちの晩年までを振り返っていくととする。

 

少し悲しいかな、

しかし二人の信念を感じれることだろう。

 

それでは最終回、ご覧あれ。

 

 


 

 

アンが来てから4ヶ月後、

ヘレンはすでに無数の単語を覚え、

それらを人に伝えられるようになっていたばかりでなく、

書くことも覚え始めていた。

 

さらに点字も読めるようになっていった。

 

やがて、

ヘレンの噂はアメリカ中に広まった。

それはヘレンがまだ8歳の時のことだった。

 

このようにして二人はお互いにとってなくてはならない存在になっていった。

ヘレンはその後も大学へ進んだりと猛勉強を続け、

アンはヘレンのために教科書の一文字一文字を

ヘレンの手のひらへ指文字で伝えた。

 

ヘレンの努力と忍耐、

精神はいうまでもなく突出していて素晴らしいが、

アンのサポートや取り組みも

それと同等に凄まじいものだったと感じる。

 

やがてアンは類稀なる努力と才能により著作家となり、

そしてフェミニストとして未来のため、

障害者の地位向上のため、

平和な世界の実現のため、

人生の全てを懸けて多くの活動を担っていく。

 

 

そんな中、

ヘレンも恋愛をした時期があった。

当初は結婚は縁遠いものとヘレンはずっと思い込んできた。

 

この世の中では誰もが平等の権利を持っていると勇ましく主張し、

自分が達成した素晴らしい学業でそれを証明できていたにも関わらず、

ヘレンは自分が結婚できるかどうかの疑念を拭い去ることはできなかった。

 

人を愛したい。

そして、

人からも愛されたい。

 

それは、

自分でもよくわかっていたが、

相手に自分の生涯を我慢してもらうだけの権利が果たして自分にあるのだろうか。

そんなことを考えていた。

 

しかし、

1916年、

目の前にあるがままの自分を深く愛し、

一生を共に過ごしたいと主張する男性が現れたのだ。

 

この予期せぬ恋人は、

新しい秘書のピーター・フェイガンであった。

 

ヘレンは、物静かで、有能で、控えめで、

信頼できるこのフェイガンという男性に以前から心を惹かれ、

尊敬するようになっていた。

 

また、

彼の方でも、

点字だけでなく、

アンのつかっていた指話を覚えたほどだったから、

どんなにヘレンのことを愛していたことだろうか。

 

二人はまた、

急進的な社会主義の思想にも共鳴した。

 

ヘレンは彼のプロポーズにびっくりしたが、

内心嬉しさを隠しきれなかったようだ。

その時のことを次のように記している。

 

「私のことをあんなに想っていてくださるなんて、

驚きました。

 

彼の優しい言葉には、

甘い慰めが潜み、

彼の頭の中は私を幸福にする計画でいっぱいでした。

 

結婚したら、

いつもそばにいて面倒を見てあげると言ってくれました。

・・(省略)・・

彼の愛は、

私の無力と孤独の上を照らす、

明るい太陽でした。

 

私は愛されている甘い気持ちに酔いしれて、

男性と一緒に暮らすという

以前からとても憧れていた生活に身を委ねようと思いました。・・(省略)・・」

 

二人は結婚することに決めた。

その時、

ヘレンは36歳、

フェイガンは29歳だった。

 

しかし家族はフェイガンの社会主義的思想を認めず、

結婚は猛反対だった。

 

時には銃を振りかざすなど

一種の暴力的なことをしてまで、

フェイガンがヘレンへ近づこうとすることを拒んだ。

 

そんな激しいやり方にフェイガンも危険すぎると判断し、

いい機会が巡ってくるの待つことにし、

手紙による交際を続けた。

 

その間も家族はあらゆる手段を使って、

フェイガンを遠ざけようとした。

 

そしてついにはピーター・フェイガンは、

ヘレンの人生から姿を消したのであった。

 

この時のことをヘレンは、

家族からの反対があまりにも激しかったため、

彼への愛を押し殺してしまったと次のように説明している。

 

「愛する人たちをどんなに苦しめているかと思うと、

これ以上、

彼との交際を続けようとは、

とても思えなくなりました。」

 

さらに大変悲しいことにヘレンはそれを、

結果的に自分の運命として受け入れてしまうのだ。

 

「音楽や日光と同じように、

私には結婚も否定されているのだと

考えられるようになりました。」

 

そう述べている。

 

それでもヘレンの心の中には、

一生”ピーター・フェイガン”の思い出が残っていた。

 

彼女は彼の愛を、

「黒々とした海に囲まれた、小さな喜びの島」

として振り返っている。

 

こんなに大きな困難や失望に見舞われたら、

普通の人はたぶん参ってしまうだろう。

しかしヘレンは、

いつものことながら、

ものすごいエネルギーと気力を発揮して、

初めてであると同時に、

最後でもある”失恋”という難関を切り抜けた。

 

悲しい恋愛を体験したことを、

良いことに役立てようと決心したのだ。

 

「私は強い性的衝動と意識的に立ち向かい、

そのエネルギーを、

思いやりや仕事を深めてゆく方向へ転化しました。」

とこの時のことをつづっている。

 

 

アンも途中、

ヘレンの本作りの手伝いという仕事を共にしたメンシーという男性と結婚するが、

それは永遠には上手くはいかなかった。

 

そんな辛い思いをしながらもヘレンを支え続けたアンだったが、

70歳を迎え持病のこともあり、

すっかり体力は衰え、

目もほとんど見えなくなっていた。

 

彼女は弱ってゆく一方の自分の身体と勇敢に闘った。

 

しかし、

1936年10月20日、

アンは息を引き取った。

 

アン・サリバンは自分の全生涯をなげうってヘレンのために尽くしたのだ。

そして最後までヘレンのそばに居続けたのだった。

 

在命中には”ポリー・トムソン”という女性をアンの後継人へ育て上げ、

自分がいなくなった後もヘレンが困らないようにと、

できる限りの計らいと愛情をヘレンに捧げたのだった。

 

そのポリーも1960年にこの世を去った。

 

それ以後、

ヘレンの世話は秘書と看護婦が見ることになった。

 

ヘレンを愛し、

守ってきた親しい人々は、

どんどん少なくなっていったが、

彼女は相変わらず、

友人たちを訪ねたり、

読書をしたりして、

自分のできる範囲で人生を楽しんだ。

 

しかし、

1961年に軽い脳卒中を起こしてからは、

周囲の人ともあまり交流できなくなった。

 

そして、

それからは、

アンがやってきて世界を変えてくれる前とほぼ同じような、

ひとりぼっちの孤独な人生を送った。

 

1968年6月1日、

ヘレン・アダムズ・ケラーは、

自宅で静かに87歳の生涯を終えたのだった。

 

 

私はこの本を読んで、

自分の知的好奇心が全てではないが満たされたことに加え、

もっと彼女たちのことを知りたいと思った。

 

特にヘレンに関しては想像を絶する障害を持ちながらも、

この現実世界を力強く精一杯生き抜き、

そして多くの人に希望と光を与えた。

 

そこに至るまでも凄まじい努力を続け、

いつも誰よりも他人のためを想い、

世界の平和のために一番前に立って活動を行い、

大きな大きな勇気と愛をみんなに届けてくれた。

 

アンに関しても、

自分自身も体に不安があったり、

幼い頃に非常に辛い思いをしてきたにも関わらず、

それを感じさせないばかりか、

生涯をかけてヘレンという一人の女の子のために

生き、

愛し、

命の限り

尽くした。

 

二人とも、

自分の人生を他人の幸せな未来の実現のために使ったのだ。

 

それは彼女たちにとっても

自分の夢の一つということにはなるのだろう。

 

なんて素敵な夢なんだ。

誰かのために生きるって、

なんでこんなに胸を打つんだ。

 

もっともっと二人が歩んだ道や、

嬉しかったこと、

苦しかったことを知りたい。

 

もっと彼女たちの意思を感じ、

今の時代に少しでも投影させていきたい。

 

あなたたちのおかげで世界はここまで良くなったんだよって。

 

まだまだのところもあるけど、

少しずつでも良くしていくよって。

 

少しかもしれないけど、

私たちはその意思を継いでいるよって。

 

ここまでちゃんと繋がってきたよって。。。

 

伝えたい。

 

なんて人たちなんだよ、

ほんとに。

 

比べるもんじゃないけど、

そんなヘレンと比べると、

私はこれまでの自分の人生を到底誇ることはできない。

 

こんなにも何不自由なく暮らし、

平等な世界にいるにも関わらず、

楽ばかりして、

全然頑張ってもいないし、

人のために何かしてきたわけでもない。

 

まだまだまだまだだよ。

 

もっと自分のこの人生を目一杯使って、

燃やして、

何かを成し得たい。

 

まだまだ漠然としているけれど

人のためになるような

自分が生涯かけて夢中になれることに出会いたい。

 

そのためにも今は学び続ける。

もっと学んで、

色んなことを知って、

勉強して、

体力をつけて、

来たるべき時が来たら全力で暴れ回る。

 

そして一人でも多くの人の幸せに貢献ができれば本望である。

 

 

 

おしまい

 

 

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